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2007.01.11

「女王陛下のユリシーズ号」

こんにちは。根岸のねこです。
3連休明けの9日からすでに3日間、会社をお休みしています。
疲労なのか弱気なのか不安なのかよく分かりませんが、調子を崩してしまいました。
今年はなんとか「病気」に立ち向かって行きたいと思っていたのですが、最初からつまずいています。
妻には気にすることがより状況を悪化させるといわれて、できるだけ平常心でいようと思っています。
2日目より3日目と、朝の体全体の苦しみも少なくなってきているので、せめて明日の金曜日だけでもいけて、来週につなげられればと思っています。
こうしてブログをできる気分にまで前進したので、無理せずでも真面目に取り組みます。

アリステア・マクリーン著で「女王陛下のユリシーズ号」という本があります。
ハヤカワ文庫に単行本で出ています。

第2次世界大戦のイギリスのユリシーズという巡洋艦を舞台にかかれた小説です。
当時の米、英を主力とする連合軍は、ソ連(現在のロシア)と協力して、ドイツ、イタリアの枢軸連合と戦っていました。
ソ連がドイツの攻撃に耐えられるように、アメリカからの物資を中心に、イギリス経由でソ連北部の港ムルマンスクへの輸送船団が組まれ、ユリシーズはこの船団の旗艦として任務についています。
設定はフィクションですが、同様の任務が実際に行われていたという事実に基づいてます。

小説の分類は「戦争小説」なのですが、この小説を読み終わって戦争の憎らしさに涙しない人は少ないと思います。
私はもう何十回もこの小説を読み返していますが、毎回涙せずにはいられません。

イギリスの港でわずかの休養を取っていたユリシーズが、機関員を中心とする反乱というより職務放棄を起こし、情け容赦ない軍高官から、ティンドル少将、ヴァレリー艦長、ターナー副長、ブルックス軍医中佐が非難と出撃命令を受けるところから始まります。
そして、天候不順による他の護衛艦とくに軽空母は故障で脱落。これは敵の攻撃機、潜水艦へのガードを失うに等しいことです。
そして、進むほどに大事な輸送船、タンカーを少しずつ失い、潜水艦の待ち伏せにあい、巡洋艦の待ち伏せにもあい、最後は司令部からの連絡で、ドイツの大型戦艦が護衛を引き連れて向かってくる旨の連絡があり、最後に輸送船を守るために敵の注意を引きつける役目を果たして撃沈されます。

流れは単純なのですが、この小説が描き出したかったのはあくまで「人間」です。
結核で死に直面しつつも、艦内のバックボーンとして任務を果たす「ヴァレリー艦長」。その艦長を庇い、敵の攻撃に精神的に砕け散る「ティンドル少将」、病気の艦長に体をいたわるよう命令しても従ってもらえず、怒りを示しつつ心から心配する「ブルックス軍医」。

そして船の柱として、不滅の体力と精神力を示しつつ明るさを失わない「ターナー副長」、いかなるときも動じず、静かにその商船乗りとしての卓越した能力で義務を果たし続ける「キャリントン予備役少佐」、若さを前面に出して常に前を見る「カポック・キッドことカーペンター大尉 航海長」、そして軍隊が嫌いなのに船のみんなを愛している「ニコルス軍医大尉」。

そのほかにも、出航時に反乱未遂で弟を失い、家族を空襲で失い、最後の家族の父も航海中に失い、その辛い気持ちをことさら任務に向ける「ラルストン上等水雷兵」、全ての下士官を束ねて揺らがない「ハートリー上等兵曹長」、劣悪な環境で苦しみ最後に艦を守るため弾薬庫で溺れ死ぬ「マクエイター水兵」、反乱の首謀者ながら艦長に敬服し最後は浸水を防ぐため自らハッチを塞ぎ溺れ死ぬ「ピーターセン機関員」。

そして環境に耐えられず狂っていく「カースレイク中尉」、自分のミスで仲間を殺し自殺する「イサートン砲術将校」、その地位をいじめに用いて解任される「ヘイスティング先任衛兵伍長」、反乱の首謀者で犯罪者だが解任せず使い続けた機関長とともにスクリューの軸に油を差し続ける「ライリー機関員」。

たくさんの登場人物を丁寧に描き、その気持ちが目の前に展開されるような小説です。
特に艦長が亡くなる前日に艦内を見回るシーンは、ずたずたの艦内員に話しかける艦長の言葉や態度に涙が出ます。

戦争反対を主題にした小説は多いのですが、ただひたすら「戦争をする普通の人間」の姿を描いた小説は少ないと思います。

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コメント

こんばんわ。ねこさま。体調いかがでしょうか。飛行機も揺れるときがありますよね。
ユリシーズって言葉は聞いたことがありますが、なかなか戦争ものは手が出せなくて読んではいません。でも、戦争という特殊な状況が、普通の人間を、特殊な人間に変えてしまうのでしょうか?
アブグレイブ(でした?)で、捕虜を虐待した人たちも、戦争に行く前は、きわめてどこにでもいる普通のアメリカ人だったと聞きましたが、そういう状況ってあるのでしょうね。皆、普段は隠し持っていて、そして自分でも隠し持っていることすら気がつかない残虐性、あるいは逆にリーダーシップのようなもの、というようなものがあるのでしょうか?

投稿: spiritualM | 2007.01.12 00:42

コメントありがとうございます。

ひとみさん こんにちは。
体調はまだ回復に達していません。
金曜日は何とか職場まで行ったのですが、体中の痛みが強く執務が困難そうだったので、ことわって帰宅しました。

戦争ものの小説は抵抗感がある人も多いかもしれませんね。
この記事を書いた後に、アマゾンのレビューを見てみましたが、極限での精神力を褒める人が多かったようです。
同じ小説を読んでも受け取るものが微妙に違うのは当然かもしれません。

戦争を間接的にしか経験していないのでなんとも言えないのですが、普段隠している性格が現れてしまうのは、戦争だけでなく事故や災害でも同じなのだろうと思います。
今の戦争は機械化が進んでいるので、殺し合いの事実さえ自覚されないことも多いのかもしれません。

投稿: 根岸のねこ | 2007.01.13 13:37

ご無沙汰しております。たかこです。

遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。

マイペースにブログを更新してゆきたいと思います。

体調のほうはいかがですか。
寒いですが、ご自愛ください。

お元気になったら私の知らないことをまた教えてください。

記事と関係ないコメントですみません。

投稿: たかこ | 2007.01.13 14:27

こんばんわ。
体調の方は、いかがですか。
こちらは、今日は、久しぶりの休暇です。
先週の日曜は、「雪」のため、予約した「針治療」が、行けれなくなりました。
それで、今日、その予約変更した「針治療」へ、行きました。
元々、自分は、「アレルギー鼻炎」が、持ち病でした。
(酷い時は、”テッシュ1箱”が、半分、使用ぐらいの状況もありました。)
初めは、「抵抗感」がありましたけど、1ヶ月経ってからは、なれました。
(通い始めたのは、2~3年前かな。)

投稿: H・K | 2007.01.13 21:11

コメントありがとうございます。

たかこさん こんにちは。
こちらこそよろしくお願いします。
マイペースは大切ですよね。私もゆっくりブログ更新しています。
横浜は朝も暖かいですが、実家は九州でも日本海側ですから、雪こそ積もりませんが朝は氷点下で寒かったですね。
記事と関係なくてもコメントは大歓迎です。

H・Kさん こんにちは。
体調は徐々に回復方向です。
針治療はやってみたいと思いつつ、手が出せていません。
日曜日もやっているというのはいいですね。
でも保険はきくのでしょうか。きかなければ高いのでしょうね。

投稿: 根岸のねこ | 2007.01.13 22:14

こんばんは。お正月で大分身体のリズムが狂っているのですね。私も狂いました。お正月の用意に子供の休みに主人の休みに挨拶回り・・・実は整体で治っていた鬱なのに、疲れで一時鬱になったのですよ。整体で治してもらいましたが。ブログには書きませんが、考えがどんどん落ちていって涙が出てきて止まりませんでした。見事に一瞬のうちに鬱になりました。自分でもびっくりしました。でも考え方を変えると楽になりました。気楽に行きましょう。内緒ですよ!

投稿: naoko | 2007.01.14 23:04

根岸のねこさん

ご無沙汰しておりました。タッシーです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ユリシーズの名前は聞いたことありますが、読んだことはないのです。
そうなんですか、人間を描いたものだったのですね。
題名だけで判断してはいけませんね。

寒いと、どうも考えることも縮こまってきます。
ゆっくりいこうと思っています。

ねこさん、どうぞお大事になさいませね。

投稿: タッシー | 2007.01.15 08:04

コメントありがとうございます。

naokoさん こんにちは。
まだ3連休以降調子が悪くて、会社を欠勤しています。
ちょとしたきっかけがあれば回復しそうなのですが、今回は復帰後、最長の休みになってます。
無理せず復帰できればと思っています。

タッシーさん こんにちは。
こちらこそご無沙汰でした。
体調は回復しないのですが、なんとかしたいです。
今年もよろしくお願いします。

投稿: 根岸のねこ | 2007.01.17 23:46

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